夏の間犬を飼う上で注意しなければならない事とは?その4

以前3回に渡って夏の間犬を飼う上で注意しなければならない事について書きました。
今回はこの事に関して新たな情報を書こうと思います。
夏の間犬を飼う上で注意しなければならない事とは?
・レプトスピラ症
レプトスピラ症はレプトスピラ属(Leptospira)の細菌の中で病原性を持った
病原性レプトスピラによって引き起こされる感染症です。
発症リスクは降雨量と関係している可能性があります。
夏から秋にかけて症例が多くなります。
1983年から1998年の間にアメリカとカナダにある22の動物病院でレプトスピラ症と
診断された犬を対象として「レプトスピラ症の危険因子が何であるか?」
が検証されました。
合計340頭のデータを調べた所ほとんどの症例は8月から11月(夏の終わりから秋)に
集中していました。
また「診断を受ける前3ヶ月間における降雨量が多い」場合「症例が増える」という
関係性が見られました。
日本において7月頃に梅雨が終わります。
その為「8月から11月に発症リスクが高まる」と考えておいた方が無難でしょう。
この感染症は人獣共通です。
また水のある屋外環境や河川で犬と遊ぶ際は注意する様にして下さい。
その理由は、レプトスピラ菌の最大の感染源であるネズミです。
一例として以下のメカニズムが考えられます。
1.降雨量が多い
2.ネズミが繁殖する
3.菌を保有したネズミが尿から菌を垂れ流す
4.菌を含んだ尿や尿の溶けた水が環境中に流れ出す
5.犬がたまたまそうした汚染水を口にしてしまう
・腸管病原体(食中毒)
夏になると胃や腸の中に生息する腸管病原体が勢力を拡大します。
1960年から2010年の間に公開された86の文献を精査して人獣共通感染症である
カンピロバクター症やサルモネラ症やベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)や
クリプトスポリジウム症やジアルジア症に関する季節性が調べられました。
その結果すべての病原体に関し夏にピークが見られました。
また別の調査でカンピロバクター症とサルモネラ症は「外気温が最高になった」
2~14日後にピークを迎えると分かりました。
そしてクリプトスポリジウム症とジアルジア症は「外気温が最高になった」
40日以上後になってピークを迎えると分かりました。
この様に細菌(カンピロバクター菌 | サルモネラ菌 | 大腸菌)や原虫
(クリプトスポリジウム | ジアルジア)は、「気温が高まる」夏期において
繁殖しやすくなります。
人間に比べて犬における症状はそれほど重くありません。
「生の食材を触った時はよく手洗いをする」といった配慮は最低限必要でしょう。
・肥満(食べ過ぎ)
「気温が高い」為に体温を維持する事に消費するカロリーが少なくなります。
「消費カロリーの目減りに合わせて餌の量を減らさない」場合犬が太ってしまいます。
ダブルコートの短毛種であるビーグル5頭とダブルコートの長毛種である
シベリアンハスキー5頭を対象として季節ごとのカロリー摂取量を長期的に観察した所
結果は以下の通りでした。
♦ハスキー
◊11月
87 kcal/kg/day(最高)
◊夏の中旬
49 kcal/kg/day(最低)
♦ビーグル
◊11月
144 kcal/kg/day(最高)
◊夏の間
85 kcal/kg/day(最低)
皆さんは、この記事の内容を知っていましたか?
次回は、「犬がどの様に体温調節をしているか?」について書こうと思います。