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鼻呼吸と外側鼻腺の関係は?口呼吸と舌の関係は?

読了までの目安時間:約 6分


前回は、「犬が暑い時にどの様に体温調節をしているか?」という事について書きました。

今回は、それに関係する事について書こうと思います。

 

鼻呼吸と外側鼻腺の関係は?

外側鼻腺は鼻で呼吸をしている犬における主要な体温調整器官で犬の鼻の奥にあり体液を

分泌していて鼻腔開口部からおよそ2cm内側第四前臼歯の上あたりに位置しています。

 

汗を分泌する汗腺は一般的に肉球にしかないと考えられています。

実はこの外側鼻腺こそ犬における真の汗腺なのではないかと考えられています。

外側鼻腺における体液の分泌量は、「空気の温度が10℃である」時にゼロなのに対して

「空気の温度が50℃である」時9.6 g/時に増加します。

 

また鼻呼吸を通して左右の外側鼻腺で行われる水分の蒸散は、口呼吸を通して行われる蒸散の

19~36%に相当します。
鼻の中に分泌液を放出して気化熱で体温を下げるという仕組みは、「暑い時に人間が汗をかき

気化熱によって体温を下げようとする」メカニズムにそっくりです。

この事実により犬にとっての汗腺は、滑り止めとして働いている肉球の汗腺ではなく鼻の

奥にある外側鼻腺であると言い換えられます。

この様に外側鼻腺と鼻呼吸は、鼻腔に分布した静脈血を気化熱で冷やす事によって脳に対する
熱ダメージを陰ながら防いでくれています。

頚動脈奇網とは?

犬の脳の中にヒツジ等の動物で見られてヒト等の動物で見られない不思議な器官があります。
それが頚動脈奇網(けいどうみゃくきもう)です。
「血管が網目状に広がっている」この器官は、首を通る太い動脈(頚動脈)に連なって脳の
中心部にある海綿静脈洞と呼ばれる部位を通過します。
この海綿静脈洞は「鼻の中(鼻腔)に分布する静脈が合流する」ターミナルの様な場所です。
つまり鼻呼吸によって冷やされた静脈血がここに集まります。
平たく言うとこの器官は脳の中にある冷たいプールの様な場所です。
頚動脈は海綿静脈洞に入った途端まるで網を広げる様にガバッと枝分かれして頚動脈奇網を
形成します。
これは熱い動脈血と冷たい海綿静脈洞の接触面積を増やす事で効率的に血液を冷やす為の
構造です。
静脈洞でほどよく冷やされた動脈血はその後脳内に入り神経細胞に酸素や栄養を与えます。
つまり頚動脈奇網と海綿静脈洞は、脳内におけるラジエーターとして機能しています。

口呼吸と舌の関係は?

「犬が暑い時に舌をだらりと垂らす」理由は、そこに温まった血液を集めて余分な熱を
外界に放出しようとしているからです。
麻酔をかけられた状態の犬を対象としてある観察が行われました。
その結果は以下の通りでした。
・呼吸数が60回/分のとき
舌の血流量 20ml/分
・体温調整中枢に温かい血液が流れ出した時
舌の血流量 60ml/分
そして「血液の温度が平熱に近づく」に連れて舌の血流量は5分以内に元のレベルに戻りました。
「犬が暑い時にハーハーと喘ぐ様な息をする」理由は、舌や口の中にたまった唾液に息を当て
気化熱によって余分な熱を外界に放出しようとしているからです。
目を覚ました状態の犬を気温20℃(湿度30%)の環境に置いて犬の観察がされました。
その結果は以下の通りでした。
・舌の平均血流量 11ml/分
・舌の動脈と静脈における温度差 1℃
この時に「犬の口は閉じられていた」為1分間に48.6Jの放熱が起こっていると推計されました。
次に犬を気温38℃の環境に置いて犬の観察がされました。
「口を開けてハーハーと荒い呼吸(パンティング)が始まった」後舌の血流量は安静時の
5倍以上に相当する60.4ml/分に激増して1.5℃の舌の動脈と静脈における温度差になりました。
そして放熱量は平均して400.7J/分で安静時の8倍に相当する値でした。
更に「パンティングがピーク(272回/分)に達する」と同時に平均血流量(74.7ml/分)や
放熱量(496.2J/分)が最大に達しました。
パンティングは「犬が口呼吸をしている」時における主要な体温調整メカニズムで「犬が口を
開けて舌をだらりと垂らしハーハーと激しく呼吸する」事で中枢神経の橋(きょう, pons)と
呼ばれる部分によってコントロールされていて前回紹介した「犬が見せる」3種類の呼吸法の内
循環呼吸と鼻口呼吸法において出現します。

皆さんはこの記事の内容を知っていましたか?

次回も引き続き犬の体温調節に関する事について書こうと思います。

 

 

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匂いを嗅ぐ時のメカニズムは?犬の嗅覚を高める構造は?

読了までの目安時間:約 5分


 

 

前回は、犬の鼻の形について書きました。

皆さんは、「犬がどうやって匂いを嗅いでるか」

知っていますか?

今回は、匂いを嗅ぐ時のメカニズム等について

書こうと思います。

匂いを嗅ぐ時のメカニズムは?

まず外鼻孔(がいびこう,鼻の穴)を通過した外気は、鼻腔(びくう)と呼ばれる空気の

たまり場に入り込みます。

鼻腔の表面は、嗅粘膜(きゅうねんまく)と呼ばれる粘液上の物質で覆われています。

この粘液に溶け込んだ外界からの臭い物質が、嗅神経(きゅうしんけい)を刺激します。

その後嗅神経で発生した電気信号は、篩骨篩板(しこつしばん)と呼ばれる骨を通過して

嗅球(きゅうきゅう)と呼ばれる脳の部位に達して情報処理されます。
因みにこの嗅球は、人間の場合約1.5グラムです。

犬の場合は、中型犬で6グラム程度です。

脳の大きさに関して人間:犬=10:1なので「もし人間の脳と同じ大きさを持つ程巨大な犬が

いた」場合嗅球の大きさは、60グラムです。

すなわちこれは、人間の40倍に達するという計算です。

犬の嗅覚を高める構造は?

犬の嗅覚は人間より1000倍~1億倍優れています。

「倍率に幅がある」理由は、「嗅ぎ分ける匂いによって犬に得意と不得意がある」ためです。

犬は、一般的に花や自然界に存在しない化学物質等犬にとってどうでも良い匂いに対して鈍感で

動物の発する有機物(ゆうきぶつ,一般的に炭素原子を含んだ物質全般)の匂いに敏感だと

言われています。

つまり犬は、生きて行く上で必要な物に対してより敏感です。
「犬の鼻が持つ」驚異的な嗅覚は、以下に述べる様ないくつかの特殊構造によって

実現しています。

 

・外鼻孔(がいびこう)

これは、いわゆる鼻の穴の事です。

人間や馬や牛等大部分の哺乳類が、円形~楕円形の鼻の穴を持っています。

それに対して犬や猫の鼻の穴の横に切れ目があります。

これは、「鼻をヒクヒクさせて穴を開閉する事により正面からだけでなくサイドから空気を

取り込む事が出来る」という寸法です。

 

・上唇溝(じょうしんこう)

これは、鼻の中央から口にかけて見られる一直線の溝で毛管作用によって常に水分を蓄えていて

匂い分子の吸着に役立っています。

これは、人間で言う人中(にんちゅう)と呼ばれる部分に相当していて人間の場合

何の役にも立っていません。

 

・鼻鏡(びきょう)

これは、鼻の表面にある細かい溝の事です。

溝の中に蓄えた水分が、におい分子を吸着して感度を高めます。

また鼻の中に含まれる温度センサーが気化熱の左右差を感知して

「風がどちらから吹いているのか」を即座に判断します。

鼻の表面にある複雑な線のパターンは、鼻紋(びもん)と呼ばれ人間の指紋の様に犬によって

それぞれ違い個体識別に利用しています。

これの表面は、涙腺(るいせん)と外側鼻腺(がいそくびせん)の分泌物により

いつも湿っています。

その分泌量は、中型犬で1日ペットボトル1本程度(500ml)にまでなります。

また「水分が足りない」時犬は、鼻の頭をペロッと舐める事で水分補給します。

 

なお警察犬や災害救助犬等鼻を生かした仕事に携わる犬の嗅覚は、夏の暑い盛りになると最大で

40%程度落ちるといわれています。

これは、パンティングと呼ばれる口呼吸によって絶えず体温を下げ続けていなければ熱中症に

かかってしまうからです。

 

皆さんはこの記事の内容を知っていましたか?

私は、この記事作成を通して犬の鼻の構造を知れて勉強になりました。

次回は、嗅覚の倍率等について書こうと思います。

 

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